実験機器や計測機器の校正に有効期限はあるのか
jcss校正を受けている実験機器や計測機器について、果たしてその校正の効力がどこまで継続するかは疑問に感じる部分でしょう。まさにjcss校正の有効期限といったところですが、発行された証明書に期限があるというわけではありません。証明書は、そのときその時点でjcss校正をおこない、どのような数値だったかということを証明するものです。その事実は未来永劫変わるわけではありませんので、期限が来たら一切価値がなくなってただの紙切れになってしまうという意味ではありません。もともとjcss校正証明書は、一般的に有効期限などは記入せずに発行します。ただし、だからといって1回実施すればずっと有効という意味ではなく、定期的に校正を実施しなければならないという事実は変わりません。
どれくらいの校正周期にするかがポイント
証明書に期限はなく、それでも定期的な校正が必要とされる以上、ポイントになってくるのは実施周期です。実際現場でも、校正の周期はどうすればいいかという疑問に頭を悩ませる担当者の方は多いでしょう。ただ結論を言うと、推奨される周期はあるものの、機器ごとに千差万別で一概に言えないというのが事実です。例えば工場で使用している温度計が次第に数値がズレ、徐々に品質が確保できなくなってきたとしても、いつどの時点から何がおかしかったかなどを特定するのは困難でしょう。計器類の信頼性は、そのまま製品の品質や実験の再現性などに直結します。そのため定期的にこれらを点検校正する必要がありますが、問題はそのタイミングです。これが校正周期ですが、当然ながら周期が短ければより信頼性は高まるもののコストがかかり、長くなりすぎれば信頼性は低くなります。
校正周期は現場によって個別に決定すべき
計器類は使われ方によって、ズレの生じ方に大きな差が生じます。毎日使うものと1年に1回しか使わないものでは劣化速度が異なりますし、炎天下や氷点下など過酷な屋外にあるものと安定した屋内にあるものでも大きく差が出ます。つまり、機器ひとつひとつの使用状況によって最適な校正周期は異なり、それを認定機関など第三者が決めることは事実上不可能と言わざるを得ません。そのため校正周期は使用者自身が独自に決定し、社内ルールにのっとって校正機関に出すのが一般的です。とは言っても何か目安は欲しいところですが、おおむね購入して3年程度までは2年に1回、その後は1年に1回出すのが推奨される頻度です。そうした意味では新品の出荷前に実施された証明書の期限は3年程度、その後の証明書の期限は1年程度と、あくまで社内ルールとして考えておくのは妥当と言えるでしょう。